我が家の末娘は、とにかくよく話す。人前で話すのも上手だが、会社でのつらかったこと、うれしかったことなど、友達や親兄姉に何でも言ってくる。
私は、自分の両親に対して、こんなに何でも話すことはできなかったなあと思う。幼い頃、両親は住み込みで働いていて忙しかった。そのために子供の私はかなり抑圧されていた。大人と話すことが苦手だったし、そもそも人前で話すことが苦だった。
私は子育て三人目にしてやっと心に余裕ができ、末娘とはしっかり向き合って、最後まで話を聞くことに努めてきた。しかし、私たちの親の世代は、高度経済成長の時代。子供と向き合ってしっかり話を聞くなどというゆとりはなかっただろう。この親世代の働きのおかげで今の自分や子供があることを思えば、私たちには感謝しかない。
そして、今、厳しい就職戦線にかろうじて引っ掛かり、男性ばかりの社員の中でただ一人、営業に走る末娘。彼女は将来どんな親子関係を築くのだろう。両親の世代、私、子供。私を中心におおよそプラスマイナス25歳。この年齢差は、そのままその時代を映している。それぞれが生きてきた時代背景を理解することも大切だと思う。
プラス マイナス
25歳
ペンネーム : 美猿