夕刻に近所で会合があるから行ってくる、と連れ合いが言う。「何時に?」と聞くと「6時ぐらい」との返事。時計を見ると既に6時を回っている。家のドアを開けて10分で到着、と見積もっても大遅刻。それでも急ぐでもなくのん気に雑誌をめくり、テレビに目をやりながら相変わらずマイペース。間に合うか間に合わないかは成行き任せ。
大らかに育った連れ合いの時間感覚は、いつも時間を気にしてばかりいる私の許容範囲をはるかに超えている。これはもう立派な時差だ。一つ屋根の下で時差が生じるという由々しき事態。超幅のある時間感覚と、この先どう折り合いをつけようか……。
はじめは途方に暮れたものの、どちらかの感覚に無理に合わせようなどと思わずに、お互いにリスペクトするよう心掛けた。時間にとらわれ過ぎて大らかさを損なうことがないように、さらに必要に応じて時間に対しても積極的なリスペクトを忘れないように。
家庭内時差の問題に向き合ったおかげで、当初より人間としての幅が広がったと自負しているが、見掛けの幅も随分広がったと連れ合いは言う。いや、まだこれは許容範囲。お腹周りと競うように、お互いの許容範囲も広がりつつある。夫婦間、愛あればこそである。これからも、いろんな意味の幅を日々更新していきたい……。
幅を持たせて
ペンネーム : 鉢かつぎ