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お産は夫婦揃った場所で

ペンネーム : スイトピー

 Mさんは、フランスのパリに赴任している時に妊娠した。同じ頃、海外在住のMさんの友人が、実家でお産をするために一人、日本に一時帰国した。その話を聞いて、Mさんは日本でお産をする友人をうらやましく思っていた。

 すると、そのことを話してもいないのに、父親から「お産は夫のそばでするのが一番。お産のために帰国する必要なし」という内容の手紙が届いた。それを読んだMさんは、『友達をうらやましがるのはやめよう。フランス語が得意な夫についてもらっての出産なら、パリの病院でのお産も心配はない』と心が決まったそうだ。

 入院している他の妊婦もスタッフも外国人ばかり。言葉も不案内な地で、ときどき来る陣痛に時間ばかりが長く感じられた。そんな時にご主人が、Mさんの敬愛する師の講話のテープを持ってきてくれたそうだ。外国でのお産で不安いっぱいだったけれど、そのテープを聴きながら心安らいでお産のその時を迎えることができた。その時の夫の心遣いが心底うれしかったと、Mさんは今思い出しても温かな気持ちになるそうだ。

 『妊娠は夫婦一体への神様からのプレゼントだから、夫婦そろった場所でお産をするのが理想』と教えてくれた父親に感謝したそうだ。「妊娠から育児が始まるのだと思います。夫婦そろっての出産を経て、主人の優しさも改めて感じましたし、夫婦共に親になる覚悟がしっかりできました。里帰りなしの出産を決意したとたんに、たまたまパリ旅行に来ていた友人のAさんが1か月間も産後を手伝ってくれたんです。それも不思議なありがたい体験でした。」と、Mさんは笑顔で語ってくれた。

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