一万円札の主、福澤諭吉の教訓集『ひゞのをしへ』の中に「桃太郎が鬼ヶ島に行ったのは宝を獲りに行くためで、けしからんことではないか。宝の持ち主は鬼である。それを理由もなく獲りに行くとは、桃太郎は盗人である。宝を獲って家に帰り、お爺さんとお婆さんにあげたとなれば、これはただ欲のための行為で卑劣なことだ」という内容が書いてあります。桃太郎が盗人! なるほどそういう見方、考え方もあるのだなと思いました。
人類の歴史が始まってからずうっーーと争いはありました。一方の側から見たら大義名分のある正義の戦いでも、もう一方の側から見れば侵略者に過ぎない、ということもあります。立場が変われば見方や考え方がガラリと変わるもので、世界的に有名な宗教の間でも「どちらが侵略者なのか」という論争は1300年以上経った今も続いています。
世の中、平和に楽しく幸せに暮らしたいという願いは、世界全人類共通の思いではないかと思います。お互いの主義主張が違っていても、その違いを認め合えば、平和に楽しく幸せに暮らす方法はきっとあるのではないかと思います。不合理なことを言ってくる人や無理難題を押し付けてくる人などは、それぞれに主義主張があってのことなのだろうと、ちょっと相手の立場に立って物事を考えると、「なるほど、そうか」と納得できることがあるかもしれません。最近の暗いニュースを見ていても、お互いに考え方をちょっと変えて違いを受け入れ合えば、今よりは平和に暮らせる方法があるのではないかと考えることがよくあるのです……。