同級生のマキちゃんは、ご主人の会社があるシンガポールに在住中に、年子で三人の子供を育てました。子供が小さいころは、抱っこするにも手をつなぐにもママの手は2本、どうしたって手が足りません。自宅は高層マンション、もしも火事が起きたらエレベーターは使えません。仕事で帰りの遅いパパは当てにできないので、毎晩3人の子供と階段を降りることをシミュレーションしてからでなければ眠れなかった、と言います。
そんな彼女は、歩けるようになった3人の子供たちとは手をつながず、ママが先頭を歩いて3人に後からついてこさせる、という方法をとりました。しばらく歩くと末っ子が疲れて座り込むので、上の2人がママのところに伝えに来ます。ママは「じゃあ、手をつないであげて」と言って、上の2人が末っ子と手をつないでママの後を歩きます。ママが買い物をしている間は、3人で仲良く遊んでいますが、ママの買い物が終ると、3人のうち誰かが気付いて、「ママが行くよ」と声を掛けて3人でママの後を追うのだそうです。
ある時、3家族で海水浴に行きました。他の2家族の子供たちは入れ代わり立ち代わり「おなかがすいた」「のどが渇いた」とやって来るので、お母さんたちは暑い砂浜と店を行ったり来たりで頭痛がするほどくたびれていましたが、マキちゃんの子供たちは腹時計がついているのか、12時と3時に3人そろってやってくるので、マキちゃんは疲れもせずに、海水浴を楽しんだとのこと。厳しい環境でのマキちゃん流の子育て法は、どうやら兄弟姉妹が協力し合い、親を困らせないという在り方を子供たちに身に付けさせたようです。
現在は、日本に住むお子さんの教育やご両親の介護、シンガポールのご主人のお世話などで二国間を飛び回りながらも、同窓会の幹事などを積極的に務めています。マキちゃん曰く「工夫すれば何とでもなるわよ」 と。
マキちゃん流子育て法
ペンネーム : 美猿