私が結婚する1年前に義父は亡くなっていたのだが、義父母は何をするにも一緒の、仲の良い夫婦だったようだ。「結婚生活25年の間に一度も主人と別れたいと思ったことがなかったのよ」と、義父との幸せな日々を懐かしむように、義母はうれしそうに話してくれた。年上の二人の知り合いにこの話をしたら、声をそろえて「別れたいと思ったことがないなんて信じられない!」と叫んだので、そういう結婚生活は珍しいことなのかなと、まだ若かった私は思った。
我が家の場合、夫婦げんかをしたり、夫に文句を言いたくなったりすると、ふと義父母がとても仲が良かったことが頭をよぎって、がんばらなくっちゃと自分を励ましてくれる。だからけんかしても必ず私から先に「ごめんなさい」と言う。すると、夫は待ってましたとばかりに「うん」とうれしそうに応える。
結婚生活は夫婦二人で築くものだから、自分のためというより、相手のためという思いがあれば、温かな家庭になる。一番小さな社会の一単位である幸せな結婚は、社会が幸せになり、世界平和へとつながっていく。だめなところがいっぱいある私と結婚してくれた夫に感謝して、自分から夫に心を添わせていく。心配したり腹が立ったり、いろんなことがあるけれど、感謝を忘れず心を添わせていたら、幸せな気分も味わえる。何よりも夫婦仲良しなのが、家庭ではいいことずくめの元になる、と先輩も教えてくれたっけ。
そうだ、今夜は、夫の好きなかき揚げと日本酒にしようっと。