「あ〜おいしかったわ。ありがとう」と、83歳になる母は幸せそうにほほ笑んでくれた。「母の日だから」と和食のお店に連出して一緒に食事をしたが、今日は顔色もとてもよく、歩き方もしっかりしていて、ひと安心。
未亡人になり独居老人となった母とは、長らく盆と正月に会うだけのつながりになっていた。それが、こちらの転勤で近くになり、定期的に会えるようになった。しかし、改めて母と密接に付合うようになると「こういう人だったっけ?」と戸惑うことも多くなってきた。そこをうまくサポートしてくれるのは妻だ。今日も、口では遠慮する母にデザートを粘り強く勧めてくれた。食後にメニューを気にする何気ない母のしぐさに、妻は気付いていた。おかげで、母にも大満足のランチとなったようだった。「遠慮されている時は、本当はそうしたいんだから、あっさり終わりにしたらだめですよ」などといつも助言してくれ、母が何を好み何を欲するのかが、私にもよく分かるようになったと思う。
「職場で周囲のお役に立てますように」と私たちの幸福をいつも願ってくれていることに感謝しつつ、少しでも母に幸せを感じてもらえるよう、妻と一緒に親孝行を続けていけたらと思っている。