ある時、仕事や町内会でのお役やプライベートの行事が立て込んでしまい、あれもこれもできていない!と焦る心が出てきました。そこで、われに返って心を落ち着かせ、気が付いたことから手を打とうと心を切り替えると、用事もスムーズに進み、楽しくなってきました。ただ一つ、町内会のことで、お一人だけ連絡がつかない方のことが気になっていました。
そのご婦人は高齢で病院に入院しておられましたが、最近やっと退院なさったらしいと聞いていました。お宅のチャイムを鳴らしても出てこられませんし、玄関の戸が開いていたので声を掛けてもお返事がありませんでした。メモに私の電話番号と用件を書いて玄関に置いて帰りましたが、電話もかかってきません。お体がまだ本調子ではないことが察せられて、こちらから何度も電話をすることもはばかられ、どうしたものかと考えあぐねていました。
ある休日、夫が仕事に出掛けていたので、私は家事の合間にある会合の出欠をパソコンで集計していました。一通り入力が終わった頃、「昨日は返信はがきの必着日だったから、届いているかもしれない」とふと気付き、郵便受けをのぞこうとさっと立ち上がりました。そして玄関を出たちょうどその時、そのご婦人が家の中に入って行かれる後ろ姿が見えました。「今だ!」と思ってお宅を訪ねると、すぐに玄関まで出てきてくださいました。その日はお加減がよかったのか、入院中や退院後のことなど、近況をお伺いすることができ、「お困りのことがあれば、お手伝いさせていただきます」と申し添え、大事な書類のお話もさせていただくことができたのでした。
気付いたことをすぐすると、雑念が湧かずに心楽しく過ごせるばかりか、用事をするのにちょうどよいタイミングにも恵まれるのだということが分かりました。もしかすると、タイミングとは、空から降ってくるものではなく、緊張感のある生活の中から生まれてくるものなのかもしれない、と思ったことでした。