お隣のおじいちゃんは、若いころの交通事故の影響で体が不自由なようですが、電動カートでどこへでも出かけていきます。
そんなおじいちゃんの行動を毎日心配しているおばあちゃんのお話。
「昨日はおじいちゃんがなかなか帰ってこないと思っていたら、新しくできたお店に一人で行って散髪してきたのよ。散髪だったら、いつも行っている近所のお店でいいのに……。」
そのお店は新しくできたショッピングモールの中にあり、大通りを渡った向こう側です。そんなところまでよく一人で行かれたなあと、私もびっくりしました。
次の日、日なたぼっこしているおじいちゃんを見かけたので、「散髪に行ってこられたそうですね」と、ちょっと声を掛けてみました。すると、「今までの髪型はあまり気に入っていなかったんじゃ。いつもの店では『今日はどうされますか?』と聞かれることなく、いつも通りに短く切られてしまってねえ。新しいお店の広告を見て、一度行ってみたいと思っていたんじゃよ。前髪を長めにしてもらったんじゃが、どうかな(^.^)?帰りはショッピングモールの中もぐるりと見学してきたよ」と、楽しそうに話してくださいました。
髪を切ったときはいつも「さっぱりしたよ!」と頭をさわりながらうれしそうに話してくれるから、その店がおじいちゃんのお気に入りだと思っていたし、近くて慣れたお店の方がおばあちゃんも安心だろうと思っていました。まだまだおしゃれしたいのよね。うん、おじいちゃん、かっこいい!
「いつも心配ばかりして、おじいちゃんの気持ちを少しも考えてなかったわ。ごめんなさい。私もちょっと髪型変えてみようかしら」と、おばあちゃん。そうそう、今度は二人でおしゃれして、一緒にお出掛けしてくださいね。