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愛はコミュニケーション

『勇気を持ってハッキリと』

ペンネーム : モモ

 ある休日のこと。妻は朝から台所仕事に精を出していた。というのも、今日は昼から上役宅でのホームパーティーにお招きいただいており、中華サラダを持参することになっていたからだ。そのためにしばらく前から、デパ地下の中華サラダをあちこち見に行ったり、どの春雨が良いか数種類で試作するほど心を砕いてくれていたのだった。

 やがて妻が「ちょっと味見をしてもらえますか?」と言ってきた。舌に自信があるわけではなく『私で役に立つかなぁ』と思いながらも、ひと口味わってみた。普段あまりはっきりしたことを言わない私だけれど、今回は曖昧な意見ではうれしくないだろうと思ったので、「春雨の歯触りはちょうど良いけど、すこしドレッシングが辛いと思う」と感じたままをハッキリ言ってみた。そこから、ドレッシングの味を調整し「今度は酸味がきつい感じ」「もうちょいかな」など、ああだこうだと言いつつも最終的には「これでまろやかになったね!」と意見が一致して、サラダが完成した。

 自分には、ものを言う前に『これで正解かな』と考えてしまう癖があるように思う。今回は味覚という、特に自信のない分野でもあり、正解かどうかはまったく分からなかった。しかし、妻のそれまでの一生懸命な取り組みを見ていただけに、感想を口にする瞬間は祈るような気持ちだった。テレビで見る食通のようなコメントは無理だったけれど、あれこれ言いながら、自分たち夫婦なりの作品を一緒に作り上げることができたようで、うれしかった。曖昧にお茶を濁してしまうのではなく、相手のために祈り心を持ってハッキリ表現すると、そこから何かが生まれるということを感じることができた出来事だった。

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