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愛はコミュニケーション

『小さい平和の作り方』

ペンネーム :鉢かつぎ

 家は両親と僕(学生)の3人。典型的な核家族だ。休日などは一緒に家の中の空間を共有してはいるけれど、それぞれ別々に自分のやりたいことをしている。時々交わす会話は業務連絡の域を出ない。

 居間で3人が一緒になり、週明け月曜日からの予定と今日の晩ご飯の打ち合わせになった。「特にない」「なんでもいい」と、いつものやり取りで結論が出ないまま会話が途切れる。スマホを見ながら顔を上げずに生返事をすると、「ちゃんと人の話聞いて」と母の小言が飛んでくる。軽い冗談のつもりで「それってやっぱり遺伝じゃない?」と言って余計に顰蹙(ひんしゅく)を買うはめになる。さっきまで母との会話に無関心でテレビを見ていた父も巻き込まれ、にわかに三つどもえの討論会に様変わりする。ヤバい。とんだ藪蛇(やぶへび)だ。のどかな昼下がりが「聞いている」「聞いてない」「ちゃんと聞いてる」「全然聞いてない」……と、あっという間に大炎上!

 僕は「話を聞かない遺伝説」がそれなりの支持を得たところでひとまず満足し、頃合いを見計らって家族討論会の幕引きにまわった。わざとスマホに目を向けたまま「は?い、ただ今炎上中!」。リアルなつぶやきが事実上の閉幕宣言となって、程なく収束に向かった。結局、晩ごはんのメニューは決まらないまま先送りとなった。

 日頃のコミュニケーションがうまく取れていないと、一緒にいても居心地が悪く落ち着かない。相手が家族だと余計にそう感じる。そうかと思うと、バラバラな個人の集合体が何かのきっかけでつながり、急に一体化することもある。家族って、なんだか変なの。有機的でおもしろい。たまに炎上することもあるけれど、お互いに小さい努力とささやかな志を持って、身近な人と仲良く平和でいられることをいつも願っている。これでも一人っ子は、世界平和の最小単位を維持するために、結構気を使ってがんばっているんだ、一応ね。

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