現代は、多様化する情報に惑わされ、ともすると自己を見失う状況にあります。こころと体に関する悩みや心配も、そんな自己表現のゆとりがないところから起こることは少なくありません。自分の目の前に起こってきたことを、自己表現の素材としてとらえて工夫ができるようになれば、あなたの毎日はきっと変わってくるはずです。 |
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ハッピーおじさん:臨床心理士。
大学教授。 |
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ハルミは、専門学校を卒業し、希望していた通りの会社に就職しました。意欲を持って入社したのですが、半年を過ぎて出社するのが億劫になっています。専門学校の時に友達の相談に付き添ったことがある、ハッピーおじさんのところを訪ねています。 |
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ハッピーおじさん相談室
ハルミは、ハッピーおじさんに会って安心感を得たようです。専門学校の懐かしい思い出を次々と話し始めました。試験の結果が高得点であったことなど、よくできる自分という思いを語っていたハルミは、フトある教科の先生が「手伝いの勧め」の話をしていた事を思い出しました。その時には、ハルミはテストには関係がないという受け止めをしていました。入社してからも、目の前にあることに対処するよりも、学生時代にテストに備えたように、言われたことを確実に覚えようとする気持ちが強く、行動が他の職員から遅れをとる日々を重ねていたのです。 その後ハルミは、何回かおじさんのところに通い、入社時のような意欲のある出社ができるようになっています。 人は、時として、“よく知っている自分はよくできる自分でもある”という思いに陥ることがあります。ハルミは、実際に役に立つ動きは始まったばかりだと思えたようです。 |