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『家庭を築くということ』

                                  ペンネーム:はっちゃん

挿画_01 「いただきます」と手を合わせる。それは子供のころから習慣づけられてきたことです。

 しかしながら、料理をして下さる方だけでなく、自然の恩恵や、それによって自分が健康でいられることにも感謝することの大切さを教えていただいた私は、それをただの習慣としてではなく、気持ちを込めて表現し、食べ物は何でも感謝して頂けるように努めています。子供のころ好き嫌いばかりで楽しい食事ができていなかった私は、そうしているうちに嫌いな食べ物が無くなり、食事を頂けることが幸せに感じられるようになりました。

 三年前に結婚した私は、結婚後のある日、いつもの「いただきます」の瞬間にふと気が付いたことがありました。それは、食事に対する感謝の気持ちが、いつの間にか、単に自分だけの感謝ではなくなっているということでした。二十年以上もの間、自分が食事を頂けること、自分が健康でいられることに感謝しつつ表現してきた「いただきます」の言葉は、妻とともに食事をし、一緒に手を合わせる時、自分たち夫婦がこうして食事を頂けることへの感謝、妻が健康でいてくれることに対する感謝の気持ちを込めた表現へと変わっていたのでした。そうだ、自分は夫になったのだ。結婚したのだから当然のことではありますが、いつのまにか自然と妻のことも自分のことのように気遣い、妻のためを祈るような夫になっていたのだということを、改めて実感したことでした。

挿画_02 一昨年には長女が生まれ、一歳半になった今ではこの子も一緒に食事をするようになりました。夫としてだけではなく、今度は父親として、娘が健康に育ってくれていることに対しても、食事のたびに感謝するようにしています。そうしてこの子にも「いただきます」と手を合わせることからも、人のことを祈る優しい気持ちを育んでいって欲しいと願っています。

 「いただきます」と手を合わせる。ほんのさ細なことかもしれませんが、私にとってそれは、その時々に新しい自分を発見させ、成長させてくれている大切な表現です。

  
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