夫婦・親子・友達・職場でのコミュニケーションを通して心の通いあう“愛”を育めたら・・・。そんなサイトを目指しています。

『転校』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　メネフネ

　ロサンゼルス空港の出発ゲートを通り抜け、日本行きの飛行機に家族で乗った。仲間やお世話になった方々に見送られ、成田行きジャンボジェットは飛び立った。

　ここ数年は転勤が多く、その都度子供達にどう話を切り出すか悩むのである。私の主なやり方は、子ども達が行きたがっているレストラン等で発表するケースが多い。
ロサンゼルスではチャッキーチーズというピザ屋で発表した。

　私がさんざん悩んだあげくの発表なので、事情が良く分かり始めた、当時小学校６年生（ロサンゼルスでは中学１年生）の長男は、涙を隠すためＴシャツで顔を覆った。
そうなってほしくなかった光景が、まさに目の前で起きた。

　東京の大田区にあった勤務場所からも、９ヶ月で次の任地へ行くことになった。子ども達に告げるため、私は家族でファミリーレストランに向かった。長男と長女は感づいていた。発表するまでは通常の夕食でありたいと、私はまだ訳の分かっていない４歳の次女とばかり話をする。その間ももたず、食事が届く前に、耐えきれずに発表してしまった。長男は食事に手を付けなかった。
長女もそれに準じた。私の取り組み方が間違えているのだろうか？
毎回こうなる。

　テレビの番組で有名サッカー選手が言っていた。「私は両親の転勤が多かったので、移籍の多いプロサッカー界では別のチームへ行ってもチームへの溶け込みが早いんです。そういう意味では引っ越しで友達とその都度お別れするのは嫌でしたけど、今ではありがたい経験だったと思っています」というシーンを、長男と一緒に見たのです。サッカーを愛する長男にとって・・私にとってもありがたい言葉であった。

　そのことが新しく行った先の学校の作文に書いてあり、「お父さんやお母さんに感謝しています」の言葉で終わっていた。