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『検査は憂うつだったけれど・・・・・・・・』

挿絵

             ペンネーム:ダージリン

 職場の定期健診で、人間ドックを受けることになりました。胃のバリウム検査がどうも苦手です。炭酸を飲んでからバリウムを飲む時は「苦しい」と思いますし、体を仰向けにしたりうつ伏せにしたり、装置が体を逆さにしたりする過程でいつも車酔いをしたように気分が悪くなり逃げ出したくなります。そんなわけでバリウム検査の事を考えると「嫌だなあ」と憂うつになるのです。でも、何とかそんな自分を変えたいなあと思っていました。

 検査の前日にこの事を先輩に話すと、「元気に働くために検査してもらうんだから、ありがたいことだよ。どんなことでも、ありがたいと思える所を見つける努力が必要だよ」と教えてくれました。

 そういえば私は、物事を喜んで受け取れないことが多いなあ、そうか、人間ドックを受けられること自体がありがたいのだから、バリウム検査はそのありがたいことの一環なんだ、と思えました。検査を通して、私の中のあらゆる苦手な事に対する思い方を変えられたらいいなあと思い、そう神様に祈って出かけました。

 いよいよバリウム検査の時間になりました。検査技師の方が笑顔で優しく迎えてくれましたので、少し気持ちがほぐれましたが、検査台の上に立つと徐々に緊張し始めました。炭酸を飲んでバリウムを飲みはじめた時にふっと嫌な感じがこみ上げてきました。「あ、ここだ」と思い、そこで「この飲み物を牛乳と思ったら飲めるかな」と思いました。今までだったら嫌な気持ちでいっぱいになって、そんな事を思う余裕がありませんでした。

 そうして少しがんばってバリウムを飲み、いよいよ体をコテンコテンと傾け始め…やっぱり苦しかった。でも検査技師さんが指示する通りに忙しく体を動かしている自分がふとおかしくなって笑えるような気持ちが湧き上がってきました。

 それはほんの一瞬のことでしたが、ひとつハードルを越えられたような気がしてうれしく思いました。

  
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