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『伝統をつなぐ』

ペンネーム:着流し

挿画 私が京の地で着物一筋で仕事を始め、早いもので40年になりました。思い返せば、高校卒業ののち西陣の着物問屋に就職し、24年間そのノウハウを習得しまして、42歳で独立。おかげさまで今日を迎えるに至っています。

 そのような身で、京の和について思うのは、今の世にも「その心」はしっかりと息づいているということでしょうか。100年以上続く老舗の、味噌、和菓子、扇子、法衣…。挿画2どれも綿綿として技と伝統を受け継ぎ育まれながら、今も堂々と生きているものばかりです。それが京ならではの「和」と言ってもよいのではないでしょうか。

 老舗のほとんどは家族で商売をされているところが多く、暮らしぶり一つとっても、和の心を重んじて大切にしています。決して利益を優先せず、代々家が守り伝えてきた伝統を、お客さまに心から喜んでいただきたい、その一念でものづくりをしています。その心が、何代も続く老舗を支えているのだと思います。

 古きよきものを大事にする和の心、しっかりとしたその元があってこそ、今の時代に命を繋げているのだと、そんな気がしています。

 余談ですが、京都市にはちょっと変わったすてきな条例があります。それは、宴席などで乾杯をする時には日本酒を用いましょうというものです。ただしその条例に反しても罰せられることはありませんから、皆さまもどうぞぜひ、一度お試しを。

  
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