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『「和」の字を前にして』

ペンネーム:すいせん

挿画 84歳になりました。立ち座りのままならない身ながらも、お茶を勉強させていただいております。人様のお点前を拝見して、お一人お一人のすばらしさを味わいつつ思いますことは、茶の心は和であり、世界平和へつながっているということでございます。

 茶席では亭主が心を尽くして茶を点てて客をもてなします。客は亭主に感謝して茶を味わい風情を味わう、主客とともに優しい心をやりとりしながら和気あいあいと時を過ごす、というのが茶の最も簡素なありようだと思います。茶の心は人間が本来ある和の心で、もともと日本人が心の中にそっと育み代々受け継いできたもののように思います。

 辞書の人名漢字表に、「和」という字に「かず たか かのう ちか とし とも のどか ひとし まさ ます みきた やす やすし やわ やわら よし わたる」と、読みが書いてあります。たくさんあるのですね。「気が合う 仲良くする 協力する 調和 和らぐ あえる 」と、字の持つ意味があるようです。
 私には難しいことは分かりませんが、「これは世界平和へつながるのだなぁ」と思いました。もちろん世界中に優しい心をお持ちの方はたくさんおられます。そう考えると、人はだれでも心に「和」を持ってこの世に生を受けているのではないでしょうか。

 世界で戦争があって和とはほど遠いのは悲しいことですが、人間って結局は仲良くするように神様がおつくりになったものだと思えるのですね。どんな人でも心の中に和を持って生まれてくる。つまり人は人と仲良くできるということ。平和というと、何かとても大きなことのように思えますけれど、自分の一番近い所から和をもって対していけば、それが世界平和へ通じるのではないでしょうか。「和」の字を前にして、そんなふうに思うのです。

  
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